医師会長からのあいさつ
高崎市医師会長からのあいさつ
新型コロナウイルス感染症はこの3年あまりの間に、世界中にパンデミックを引き起こし感染症そのものの脅威は勿論のこと、格差や環境の変化における問題点や脅威を顕在化させました。それに加えて2022年2月に起こったロシアによるウクライナ侵攻が引き起こした影響により、エネルギー資源や食料の問題など世界規模の課題が炙り出されました。
私たちは、今後新型コロナウイルス感染症に限らず、グローバル化した世界で発生が予想される未知なる感染症の脅威に備える必要があります。
今回のような感染拡大や過去の災害を教訓に、いざという時の病床や医療機器、人材を確保しておく必要があり、近年国が示してきた病床削減の方針もあらためて見直す必要に迫られているといえましょう。
わが国で長年にわたり医療費抑制政策が続けられた結果、病院をはじめとした医療機関は常に病床をうめて自転車操業していないと経営が成り立たないように誘導されました。今回のパンデミックにおいて、大きなピークがくる度に医療逼迫が報道される背景には、このように医療スタッフが常時精一杯の仕事を強いられ、人的および経済的医療資源の余裕がないことが大きな要因としてあげられます。そしてまた、ここにきて国の財政逼迫から日本の医療の根幹にかかわる「医療へのアクセス制限」や患者さんの自己負担割合の引き上げが図られようとしています。
今回の危機を契機に患者さん自らが身を護れるための医療政策への転換を訴えるべきであると考えます。
医師会は会員である診療所や病院の医療活動を地域医療に結びつけ、市民の皆様が安心できる医療の提供を目指す組織です。そのために高崎市をはじめとした行政と協力して幅広く専門的な立場から保健・医療、介護・福祉など様々な分野で活動を行っています。例えばお子さんの予防接種は現在ほぼ個別化され、小児科等で受けていらっしゃると思いますが、そのほとんどが国や市町村の事業として位置づけられワクチンの確保から請求事務までをそれぞれの医療機関や医師会が契約に基づき行っています。
新型コロナウイルス感染症対策として実施されている発熱外来やPCR検査等による感染診断などは医師会員およびその所属医療施設において多く実施されており病院や診療所の枠組みを超えて、文字通り身を挺した献身的な活動により成り立っています。
これからは患者さんと医療者の垣根を越えた相互の理解と連帯が必要な時代になると思います。新型コロナウイルスに罹患した患者さんの気持ちに寄り添い、感染から回復した方たちに暖かく接し、新型コロナと戦う医療者やその家族に深い理解と連帯感を持っていただければ幸いです。
高崎市医師会はその中心となり、どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会を実現するべく、地域医療を推進して参ります。また、市民の皆様には、何でも気軽に相談が出来る「かかりつけ医」を是非持っていただきたいと思います。現在「かかりつけ医」をお持ちでない方は、このホームページ内の市内医療機関検索のコーナーをご利用ください。
2022年9月
一般社団法人 高崎市医師会
会長 岡本 克実