- 学術情報 -

もの忘れ検診

講演会一覧

住民検診においてHelicobacter pylori検査はどのように活用されるか?−血清H.pylori抗体価、血清ペプシノゲン値同時測定による胃がん検診(ABC検診)の試み−

ペプシノゲン法による地域住民胃がん検診−「高崎市方式」10年間の検討−

ペプシノゲン法による胃がん検診 ABC検診(胃がんリスク検診)
 



ペプシノゲン法による地域住民胃がん検診−「高崎市方式」10年間の検討−
消化器健診Newsletter: No.78,2007
はじめに 対象と方法 結果 考察とPG法胃がん検診のまとめ


考察とPG法胃がん検診のまとめ

 慢性萎縮性胃炎が胃がん発生に深く関わっていて慢性萎縮性胃炎である個体は胃がん高危険群に属すると考えられている1)2)。 この胃がん危険群を簡便にしかも安価に抽出できるのがPG法3)である。我々のような地域検診では様々な年代,職業,生活習慣をもつ市民が対象である。この不特定多数の対象の中から胃がん高危険群を抽出し内視鏡による精密検査を行うことは地域検診にこそPG法が非常にすぐれたスクリーニング方法であると考えられる。

 高崎市でのPG法検診「高崎方式」10年間をまとめると

1.胃がん検診受診者数を増加できた。(表1図1表2

X線法受診者は漸減,PG法受診者は増加。これはX線法以外の新規受診者の掘り起こしができたのではないかと考える。

2.発見胃がんの著明増加。(表2

PG法の胃がん発見率は0.15%であり間接X線法の0.15%,直接X線法の0.18%に匹敵していた。また奇しくも間接X線法による地域検診の全国集計4)0.15%と同じであった。受診者数の増加により10年で173名の胃がんが発見できた。

3.発見胃がんは早期で分化型のがんが多かった。(図6図7

4.胃がん発見費用はPG法が安価である。(表3

5.要精検率が高い,(表2

要精検率は平均で24.3%,PG値の性格上高齢であれば陽性率が高くなる。

要精検率が高くなると精検受診率が低くなる傾向がある。精検受診率は平均65%であった。精検勧奨が必要である。

6.「高崎方式」の利点

PG法がん検診と大腸がん検診をセットにして実施したところ大腸がん検診受診率,発見大腸がん数も飛躍的に増加した。(図8910)そして検診事業において受診者を増やすことが重要事項であることが証明された。 

 以上をふまえて,不特定多数の市民を対象とする地域胃がん検診においては胃がん高危険群を簡便で安価に抽出できるPG法は実際にすぐれたスクリーニング法であると考えられた。以前,我々は,PG陰性がんも存在する5)ことから新しい胃がん検診として一次スクリーニングはPG法を用い受診率の向上,コストの削減をはかり,PG陽性者には内視鏡で精密検査,PG陰性者には間接X線を用いた二次スクリーニング検査を主に進行がんの見落としを防ぐ目的で施行し要精検率を数%以下に抑える,といった二段階方式をとる方法を提案した6)。しかし地域住民のX線法離れは進み現実的ではなくなってきている。そこで高崎市医師会主導で血清のPG値とヘリコバクターピロリIgG抗体(以下HP)を同時に測定し井上ら7)の提言に従いA群,B群,C群に分けるABC検診を平成18年度から施行している。ABC(D)の分類は諸家にならい表5のようにした。D群は頻度が低いため受診者への通知はC群(C+D群)とした。また従来の40才以上の対象者に加え20才以上の高崎市市民でABC検診単独希望者も検診受診可とし対象を拡大した。詳しい結果は検討中であるがPG法陰性でHP抗体価陽性,いわゆるB群から胃がん発見例が存在した。ABC検診ではPG法陰性がんを拾い上げられる可能性が強く今後はPG法検診をABC検診に変更し継続していく予定である。

 現在,「平成17年度厚労省「祖父江班」報告-有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」の内容で検診現場が混乱をしている。X線による胃がん検診離れが進みつつあり検診の主体は内視鏡検査になりつつある現状でのこのガイドラインである。行政サイドもこの答申を受けがん検診費用を削減する可能性さえある。しかし一次検診から全例に内視鏡検査を施行するのは地域検診において費用,マンパワーの点で問題があろうと考える。内視鏡検査の前に何らかのスクリーニング検査を行い胃がん発生危険群を振り分け内視鏡による精検を行うのが費用面も含め現実的である。高崎市の10年間のPG法検診の結果でPG法は安価ですぐれたスクリーニング法であることが証明できたと考えている。だだし唯一の弱点であるPG法陰性胃がんへの対策が必要となってくる。平成18年度から高崎市医師会主導で行っている地域住民へのABC検診がこの弱点を補ってくれることを期待する。

(文献)

1)Imai T et al;Chronic gastritis In Japan with reference to high incidence of gastric carcinoma.J Natl Cancer Inst 47:179,1971

2)CorreaP;Thegastric precancerousprocess. Cancer Surv 2:438,1983

3)三木一正編:ペプシノゲン法,医学書院,1998.

4)北川 晋二,宮川 国久,宇都宮 尚ほか:平成16年度消化器がん検診全国集計,委員会報告.日本消化器がん検診学会誌 45:49-68,2007

5)松本 純一,荒井 泰道,矢作 和也ほか:血清ペプシノゲン法陰性胃がんの検討.日消集検誌 40:20-27,2002

6)吉川 守也,乾 純和,小林 二郎ほか:ペプシノゲン法による地域検診からみた新しい胃がん検診のありかたー3年間のまとめー,日消集検誌 38:503-509,2000

7)井上 和彦,東山 真,谷 充理ほか:国内分離株から作成された血清ヘリコバクターピロリ抗体を用いた,ペプシノゲン法併用による胃の’健康度’評価。日本がん検診・診断学会誌 12:138-143,2005

  一般社団法人 高崎市医師会
  370-0829 群馬県高崎市高松町5番地28 高崎市総合保健センター内
  TEL:027-323-3966 お問い合わせは高崎市医師会事務局まで
ホームページに関するお問い合わせはこちら:tmainfo@mail.gunma.med.or.jp
  病院案内:027-325-0011
  Copyright(c)2004. Takasaki Medical Association All Rights Reserved.